小児病棟
「おはようございまーす」

五年生の教室である。五年生は全部で七人だけ、しかしそれでも五人しかいない四年生あたりに較べれば大所帯だ。

「休みはないね? 大丈夫ね?」

担任の川端先生がみんなを見渡して言った。

川端先生は四十歳の女性の先生である。背は小さく、あまり生徒達と変わらない。鼻の向かって右側にある大きなホクロが特徴的な先生だ。

「じゃあ、みんな着替えて」

登校すると、まず授業の前にみな体操服に着替えて体育館に集まる。そこで男子は上半身裸、女子は体操服にブルマ姿で、体操を行なうのだ。
足は裸足なので、夏はいいが冬は辛く、寒いを通り越して痛い。低学年の子供は泣く子もいるほど辛いのである。

「今日も床、つめてえだろうな、かっつん」

「うん……そうだね……」

子供たちは、憂鬱そうに、廊下を体育館に向けぞろぞろと歩いていった。
< 9 / 241 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop