小児病棟
「君は、十二病棟の子かな?」

その男性はにっこりとほほ笑みながら言ってきた。

「あ、はい…そうです…」

正哉は、ちょっと照れつつ、ぶっきらぼうにこたえた。そんな正哉をその男性は、実に悠然と、にこやかな表情で見ていた。

「じゃ、じゃあ、失礼します……」

正哉は、その沈黙に耐えきれず、そう言ってその場を離れ、さっき来た通路を戻っていった。
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