先生へ
 ソフト部の顧問の先生にこちらが憔悴するくらい何度も入部を迫られた時、ふざけたように「行かせない」と言った先生を覚えています。
 あの時、止めてもらえなかったら、流されやすい私はソフト部に行く羽目になっていたでしょう。ふざけたように先生の足で挟まれた足は、先生が思っているよりも強く、その場に私を留めさせました。
 今も、忘れられないほどに。

 私が自分の想いに気付いたのは、転任する先生に感謝のメールを送るときでした。
 ふざけて書いた「先生のこと好きでした。」は、自分が思っていたよりも胸にしっくりきて、「嗚呼、先生のこと好きなんだ。」なんて納得したのです。
 彼氏と別れた原因も彼氏の浮気のせいだなんて最初は思っていましたけど、後々考えてみると、思いの外先生への気持ちは周囲に駄々漏れだったのが原因な気がします。
 そりゃあ彼氏も浮気するか、なんて反省もしました。
 

 先生が好きだったんです。思っていたよりもずっとずっと本気で。今でも、似ている人がいれば胸を締め付けられるほどに好きなんです。
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