先生へ
 修学旅行を控えた十月、私は先生に想いを綴りました。言葉をひとつひとつ選びながら、真剣に、正直に伝えたつもりです。返事を待つ期間は二週間程だったでしょうか。
 永遠にも思えるほど私には長く感じられました。先生にとっても忙しい時期だったでしょうに、こんな問題を無理矢理押しつけて申し訳なかったです。

 先生が私に伝えた結果は「私が卒業するまで答えは保留」とのことでした。先生には大人のように返事をしましたが、その晩は泣きました。
 すぐに提示されなかった答えは、私にとっては「NO」と言っているようにしか思えなかったのです。「諦めろ」と遠回しに伝えられた気持ちでした。
 
 重い気持ちのまま出発した修学旅行。振られたことを乗り越える為にも楽しもうと思いました。仲の良い友達で形成された日々は楽しいものでした。先生からメールが来るまでは。

 なんで、メールが来たのか分かりませんでした。もうあのままメールなんて来ないと思っていたんです。そもそも何故来るのかも分からなかったメールだったので・・・
 先生からメールが来たことで、また苦しいほどの恋情は蘇りました。本当は逃げたかったです。メールを無視したかったです。

 でも、出来ないんですよ。
 好きで、好きで、どうしようもないから。
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