めぐりあわせ
響子は、リビングのソファに座ってもらった。
「何か飲む?」
「…うん」
泣き止んだ響子は、目を真っ赤にして放心状態になっていた。
話は、落ち着いてから聞こう。
「あっ、そうだこの間会社の同僚が、実家でお茶を作ってるらしくて、美味しいのをもらったの!それにしよっ」
放心状態の響子には聞こえていないのか、返事はなかった。
「はいっ、どうぞ」
「ありがとう…」
消え入りそうな声で言った。
「美味しいね…」
「よかった」
響子は、うんと小さく頷いた。
「落ち着いてきた?」
「…うん」
「何があったか話出来そう?」
響子は、ため息をついて頷いた。
「………カズ………
最近、仕事ばっかりで、夜も遅いし、結婚式の準備も手伝ってくれなくて、私、一人で進めてるの…
「どっちがいいかな?」とか、「どれがいい?」とか選ぶ時は、絶対に「響子の好きなのでいいよ」とか自分の意見がないの!」
「ふーん…」
「今日は、珍しく早く帰ってきたから、披露宴の会場用のお花とか引き出物とか色々決めないといけないから、相談しようと思ったのに、「響子が決めて」って…だから…」
「そっか…そんなことがあったんだ」
「悔しくてさ、「じゃ、結婚辞める!」って家出てきた。スマホも、愛ちゃんに連絡してから電源落とした…」
「きっと、今頃佐川くん必死で響子のこと探してるね」
「いいよ、もう」
「私にも、連絡くるね」
スマホを見ると…
「あっもうすでに、着信10件…」
「電話出ないで!」
響子は、また泣きそうな顔になった。
スマホは、音が出るようにしておいた。