めぐりあわせ





「ねぇ、今までの10年間で、佐川くんが響子の考えに反対したことあった?」



「ん?…ない…」



「でしょ?それと同じで、佐川くんは考えたくないんじゃなくて、響子が決めたら上手くいくから、何でもいいよって言うんじゃない?」



「それが嫌なの…」



「響子は今まで、何でも佐川くんよりも早くに決めてたよ。佐川くんが決めたことに対しては、「それは、嫌だ」とか言ってたし、きっと結婚式のこと佐川くんがいいって言ったものは、却下されるんじゃないかな?って思ってるんだよ」



「それでも、一緒に決めたいの!たった一度のことだもん!」



「そっか、それならちゃんと話し合わないと!」



すると…



♫ ♫ ♫



着信だ…



ん?



岳からだ…



「出ないで!」



「岳からなんだよね…」



本当は出づらいんだけど…



『もしもし?』



『あ〜よかった!出てくれて…』



『どうしたの?』



『今、山野さんと一緒?』



『うん』



『俺は、カズの家にいるんだ』



『あっ、そうなんだ』



『今、どこにいるの?』



『私の家にいる…』



あまり響子に聞かれないように、寝室に移動した。





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