めぐりあわせ





沈黙を破ったのは、佐川くんだった。



「ごめん!俺が悪かった!」



佐川くんは、頭を下げた。



「何もわかってないのに謝るの?」



「ごめん」



「また?」



「俺は、響子が好きなんだ!だから、響子が好きなものがいい!
反対しない」



佐川くんは、響子がどうして出て行ったのかとか、全部わかってたんだ。



「それじゃあ、何にも変わらないじゃん!私は、意見がぶつかっても、カズの意見が聞きたいの!」



「わかった!これからは、意見を言うよ!」



「仲直り出来たみたいだな」



岳が言った。



「そうみたいだね。私たち必要だったのかな?」



「愛花が、ここに山野さんを連れて来てくれたんだから必要だったよ!」



「よかった」



「カズはさ、山野さんのこと全部わかってるんだよな。
でも、家を出て行った時のカズは、本当にヤバくて、半泣きになって俺に電話してきたんだ」



「え〜?佐川くんが泣くなんて…よっぽどだね」



「山野さんが行きそうなとこは、決まってるからって…」



「あっ、私?」



「でも、愛花に電話しても、山野さんが「出ないで!」っていうと、愛花も出ないだろうからって、俺が電話した」



「そうだったんだ…」



「帰ろっか」



「うん」



岳が、ソファから立ち上がり、佐川くんと響子のところへ向かった。


私も岳についていく。



「じゃあ、俺らもう用なしみたいなんで、帰るわ」



「あぁ〜二人ともごめんな、迷惑かけて…」



「愛ちゃん、ごめんね。副島くんもごめんなさい」



「仲直り出来たから、よかったよ」



岳と私は、佐川くんと響子に別れを告げて、家を出た。






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