めぐりあわせ





試合中は、殆ど岳の姿を見ることは出来なかった。



試合の中盤戦ぐらいになった頃、響子が急に話し出した。



「ねぇ、愛ちゃん」



「ん?何?」



「愛ちゃんってさ、副島くんのこと好きでしょ?」



「え?」



「隠しても無駄だよ!愛ちゃんずっと見てたもんね」



響子は、ニヤニヤしながら聞いてきた。



「…うん」



「やっぱり?!」



「どうして?」



「「副島くん、彼女いるよ」って言った時から、もしかしてって思ってたの」



「鋭い!」



「私、応援する!」



「あ、ありがとう」



「でも…彼女いるよね…」



「ね…やっぱ、無理なのかな?」



「もしかしたら、上手くいってないかもしれないし…」



「上手くいってるかもしれないし…」



「でも、好きなんでしょ?」



「うん」



「愛ちゃん、素直!」



「でも、なんで今更?」



「本当に自分でもそう思う。けどね、すごく話が合うし、価値観が似てるの」



「高校の時もそうだったよね」



「高校の時は、友達って思ってたから…」



「再会して意識したんだね」



「うん。なんか、好きになるって、理由なくてもいいんだ!って思う」



「おお、名言出た!」



「あなたたち、ちゃんと野球観てますか?」



佐川くんが急に話に入ってきた。






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