自由と首輪
「確かに、ファンレターは私が書いたものですけど……」

 だけどライブで被支配欲が満たされるなんて思ってないしそもそもそんなことを書いた覚えもない。

「君のファンレターはいつも『楽しかった』じゃなくて『満たされた』って書かれてるの」

「確かに、そうかもしれません。でも……」

 だからって被支配欲が満たされるってわけじゃないでしょう。と言おうとしたのに、

「俺らのライブってかなり高圧的な煽りしてさ、ファンに言うこと聞かせるじゃん。それでみんなが同じ動きをして一体感がうまれる。それで満たされるってことは、さ」

 要するに支配されるのが心地いいってことじゃないの?

彼に耳元でそう囁かれて、私はゾクゾクとする今まで味わったことの無い感覚に襲われた。

「そんなこと……ありません……」

私が震える声で出した否定の言葉を彼は一笑し、ホテルの名前と部屋番号を書いた紙ナプキンを私に握らせた。

「今日、ライブ終わったらここにおいで。ライブ以上の満足感を教えてやるから。嫌なこと全部忘れさせてやるよ」

彼はそう言ってライブの決め台詞を残して私の返事を待つこともなく、カフェを出て行ってしまった。
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