わたしの図書室の王子様☆
1暖かな春

キラキラ光る!?

穏やかな夕暮れ。
校舎から見える山は淡いオレンジ色。
スピーカーからは、帰宅を促す放送が流れる。
「もう、こんな時間かぁ…」
大きく伸びをして、深呼吸。
手首にくるりと巻き付く濃紺の腕時計に目を落とす。
「どうしようかな」
机の上の小さく分厚い本を見る。
春になったし、高校2年生になったし、何か新しいことに挑戦!と勢い込んだのは良いものの…
トホホ、わたしに、こんな難しい詩集は合わなかったのだ。

2年生になって、まさかの、初めて図書室なる場所に行ってみたのは、たった30分前のこと。
そして、ふらーっと本棚と本棚を渡り歩いていると、きらきらと光る物が!
側に立ち寄り、手に取る-。

それが、これなのだが…
表紙は澄んだ青。
金文字で何か綴られている。
もちろん、読めない!

ページをめくると小さな文字が縦に並んでいる。
良かった、日本語だ。

「豊かな橙色に佇む
影に寄り添う

流れる風に
委ねることに
雲逆らわず

静かに迫り来る夜を
受け止めることを
私も厭わず」

…返そう。
何が書いてあるのか、さっぱりわからない。

わたしは、駆け足で階段を降りる。

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