呉服屋の若旦那に恋しました
「笑わないでっ」
笑ってる俺の頭を、衣都がぽかっと叩いた。
俺は、俺の頭を叩いた衣都の腕を引っ張って、強引に抱き寄せた。
それから、耳元でこうささやいた。
「好きだよ衣都。お前が想像する以上に、ずっと」
ーーーーーできれば、もうずっと、離したくない。
俺を求めてくれた彼女を。
俺のことを求めてくれる限り。
そう願いながら、衣都をぎゅっと抱きしめた。
この先分かる真実にも、この愛が揺らぎませんように。
そう、願いながら。