お姫様を捜す前に
その石は随時毒ガスを発し、
『死』を貪欲に求める石だった。
人を呪う力がある玉藻前には打ってつけで、すぐに馴染んだ。
が。
陰陽師はその殺生石ごと破壊した。
そして、その殺生石は様々な所へ。
玉藻前はバラバラになった。
その殺生石が舞い降りた地の一つが、ここ飛野大野。
そして殺生石を浴びた、伊織の祖先に乗り移った。
その時、村中の奴らに夢枕がたったという。
『玉藻前を復活させたいから、血を絶やすな。
どんなことをしても、玉藻前を守って。
アイツは立派な神様だ』
赤い髪をしたと言われる美女が、そう枕元で囁いたらしい。
たぶんソイツは玉藻前じゃない。
証拠に。
なぜか邪眼の髪は白いのだ。
これは玉藻前を模しているためと思われる。
祖先も浴びたと同時に白くなったらしいし。
夢枕がたってから、村人は異常に白龍家を崇拝するようになった。
何があっても抗わず、まるで犬のように白龍家に仕えた。
そんな村が、一度だけ白龍家の意思に背く日がある。