お姫様を捜す前に
血を続かせるために白龍家と村が選んだ方法。
それは
――近親相姦、である。
兄弟同士で子を作り、またその兄弟同士で作らせる。
異常な村の異常な儀式。
伊織もその儀式によって生まれた。
そして、その儀式によって両親を奪われたのだ。
俺は邪眼使いと呼ばれる家の出だ。
これは最近知ったこと。
邪眼使いとは殺生石を浴びた家の一つで、その名の通り邪眼を扱う家だ。
邪眼使いは邪眼ではない。
邪眼を操るためにいる。
邪眼はなりふり構わず人を殺す訳じゃない。
玉藻前の一部という非常に小さな力のおかげで、単独では人を殺せない。
だから薬を使う。
意識を遠くさせて、“自我”と呼ばれるものを一時消す。
すると奥にいる玉藻前が少し出てきて、力が強くなる。
制限時間は2時間。
これ以上やると肉体が耐えきれず、死んでしまう。
神様を出すということは、その肉体とは違うものが肉体を操ることになる。
肉体の事故防衛。
これによって、死を招くというわけだ。