お姫様を捜す前に
その薬は、並の人間が使うと死ぬ。
自白剤とよく似てるそれは、使うと廃人になり、死ぬからだ。
そのため邪眼使いは薬が一切聞かない体質だ。
邪眼使いというより日向家には、特徴がもうひとつある。
邪眼持ちの猫と蛇を管理しているのだ。
昔、あの例の赤い髪の美女が祖先の元へ現れ、大量の猫と蛇を差し出したらしい。
“預かって。
お前は石を浴びたんだよな?”
“あぁ、だが邪眼ではない”
“邪眼使いなんだ、お前は”
“邪眼使い?”
“そう。
この子たちは玉藻前が使役していた子。
玉藻前が復活するときには、死んでると思うから、繁栄させて。
復活したときに独りぼっちは可哀想だろー?”
その女はくすりと笑い、消えたそうだ。
今は大分減り、双方合わせても10匹前後しかいないが、皆邪眼持ちだ。
――これは、物語が始まる前の物語。