お姫様を捜す前に
私はよくわかんないけど、伊織の家は白龍って言って邪眼?とか言うんだって。
で、たーくさんある邪眼のお家の中で特別視されてるのが白龍らしい。
理由は夢枕とやらがたったから。
私も最近頑張って調べたからうろ覚えの知識なんだけど、
玉藻前という狐がこの家を復活するときの材料に選んだから、たぶん夢枕がたったんだろうけど。
周りはそれを妬んでいて、事実伊織は何回も殺されかけている。
特に今は、この村に女の邪眼がいないから、丸腰…というか。
女の子は殺すことができるけど、男の子はできないんだって。
私の目の前で伊織がナイフを突きつけられた時は、尋常じゃないくらい怖くて泣いた。
いなくなっちゃうんじゃないかって。
当時小2の私は、その時初めて知った。
伊織はやっぱり普通の人とは違うんだって。
「まあ一応どんなやつか聞いとくな?」
「んー、よろしく歌月」
「…なんかあったら言えよ」
「ハハ、心配性だなー」
少し困ったように笑う伊織。
カヅくんは伊織が大好きだから。
失いたくなくて心配性になる。
それは東西ちゃんも私もそう。
「…伊織は愛されてるってことだよ」
「だね」
幸せそうに笑って。
私の頭をまたくしゅくしゅして、席に行ってしまった。