お姫様を捜す前に
◇◇◇


チャイムがなり、地獄の数学が終わる。


数学の西谷は私達に宿題と怒りとストレスを残して去っていった。


「無理だ…」


呆然と宿題のプリントと見つめあいながら、私は呟く。


「たまき、大丈夫?」


心配そうに私を覗く顔は、とてもかっこいい。


「たまきは数学苦手でしょ?
大丈夫?」


「カヅくんは頭いいもんね…」


プリントをファイルに仕舞い、変わりにお弁当箱を取り出す。


「見てあげよっか?」


「いいの!?」


単純な私は嬉しくて、声がつい大きくなる。


「まあ、俺でよければ」


「本当!?ありがと!カヅくん天使!」


きゃあきゃあと喜ぶ私を、嬉しそうに眺めるカヅくん。

いい人だなあ、本当。

頭もいいし、スポーツもそれなりにできるし。

完璧くんだわ、本当。


だから、そう――



「ひ、日向くんいますか?」



モテるのも当たり前の訳で。


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