お姫様を捜す前に
くるりと踵を返し、伊織の元へ。
「いーおりー」
起こそうと体をぶんぶん揺する。
「伊織起きてー、もう授業終わったよー」
揺するたびに、キラキラの白髪が揺れた。
わ…綺麗。
私は伊織の白髪が大好きだ。
初めて会った時は、驚いた。
あんまりきれいで眩しくて。
王子さまみたい、って思った。
「…へへ」
机に突っ伏してる伊織の寝顔。
どこか幼くて、色っぽくて。
ふわふわした気持ちを抑えきれず、笑ってしまった。
「たまきさま?」
「んぎゃっ!?」
どこからか見知った声。
えと…
東ちゃんのはず、なんだけど。
いないのはなぜ!?
キョロキョロと見回してると、伊織の横の窓に、東ちゃんがいた。
木に登ってるせいか、不安定らしく西ちゃんに抱き抱えられてる。
ここ三階!
ちょうど伊織の席の真横にあたる木に登ってまで、お弁当届けるとか…色々びっくり。
「開けていただけますか?」
「は、ははいっ!」
ガラガラと窓を開けると、恐る恐るといった具合に入ってくる東ちゃん。
それを見届けたあとにかっこよく入ってくる西ちゃん。
運動神経の桁は、一目瞭然。
西ちゃんば化け物だ。