お姫様を捜す前に
「東、西、お前ら帰れよ…」
「い、伊織さま…なんて酷い!」
二人は抱き合って悲劇のヒロインごっこをしてる。
「ん?」
西ちゃんが何やら口パクで喋ってるのを双子の何かで感じとり、読み取る。
「伊織さま、西が『一応私達は姉なんだから指図しないで』って言ってます」
「いやまあそうだよー!?そうだけど!」
ここで東西ちゃんの境遇の話をしよう。
見た目は小学校低学年な二人だが、年齢は伊織の二歳上。
現在高二なのだ。
アンビリバボー。
伊織が9歳の時に11歳の東西ちゃんはこの村に来た。
母親に虐待されて逃げてきた。
死んだ父親がここにいたから、身内でもいるかと思ったらしい。
で、伊織と出会った。
東西ちゃんの父親が伊織の父親ということもあり、親族として暮らし始めた。
が、ここの主人はやっぱり伊織なので、そこら辺をはっきりさせねば!と伊織の育ての親が言ったせいで、
二人はこの村の勉強と伊織を敬うという教育を受けた。
そのせいで二人は何時でも伊織さまさまなのだ。
自分のことより伊織さま。
そーゆー子なのだ。