お姫様を捜す前に
「じゃあ行こうか」

メガネくんと向かうのは、別校舎の技術室裏。


ちょっと肌寒い中、まあ皆さん懲りもせず待っていた。

20人くらいの男女が、一斉にこちらを睨み付ける。


「ひ…」


怖いなあ。

ぴく、体が固まりそうになる。


ダメダメ、動かなきゃ。


「お、お待たせしまひた…」


「おっそー」

「何してたのコイツ?」

「あ?ああ、伊織さまとお弁当食べようとしてた」

「いい加減離れろよ」


ガンッ、太ももを蹴られる。


「〜〜〜っ」


同時に走る熱さ。


こんなんで痛がるから、最後私は泣いちゃうんだよ?


バカだなあ、なんて思いつつ。



「で?一応聞いとくけど、伊織さまと別れる気があるの?」



名前も知らない女の子が、鋭く聞いてきた。


「な、い…」


「毎回言うけどさあ」


ヤンキー座りをしてた赤い髪の男の子が、イライラMAXで言う。


「伊織さまには妹がいんの。わかる?」



…わかってるよ。

悲しいくらいに、その存在を。


「もしお戻りになられたとき、お前がいたら邪魔でしかねえの。

この村にいる限りはわきまえてもらわなくっちゃさあ…」
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