お姫様を捜す前に

「たまきいたいー」


「痛くしてないし、やれ!」


怒る私にニコニコ笑いながら。


「だってさ、無駄じゃん。こんなことしても」


悲しそうに言った。


「伊織?」


様子が変な伊織を除き込む。


「いや、なんでもねーよ」


「伊織兄、いくら高校が決まってるからって、お勉強はちゃんとしなさいよ!」


カヅくんの隣の少女が怒ってる。


森下なつ。

現在小学6年生。


家は旅館経営をしており、父はこの村の村長。


そんな彼女はいつも私たちに引っ付いている。



そんなことより…


「い、伊織…高校決まってるの?」


衝撃の事実。


現在中三の私たちは受験生だから、高校の希望の一つや二つはある。


けど、伊織のは初耳だった。



「決まってるよー?

白龍家だから」



その一言でハッとした。


『白龍家だから』


それは、いわゆる…


「指定されてる高校ってこと?」


「そー」
< 36 / 40 >

この作品をシェア

pagetop