お姫様を捜す前に
「たまきいたいー」
「痛くしてないし、やれ!」
怒る私にニコニコ笑いながら。
「だってさ、無駄じゃん。こんなことしても」
悲しそうに言った。
「伊織?」
様子が変な伊織を除き込む。
「いや、なんでもねーよ」
「伊織兄、いくら高校が決まってるからって、お勉強はちゃんとしなさいよ!」
カヅくんの隣の少女が怒ってる。
森下なつ。
現在小学6年生。
家は旅館経営をしており、父はこの村の村長。
そんな彼女はいつも私たちに引っ付いている。
そんなことより…
「い、伊織…高校決まってるの?」
衝撃の事実。
現在中三の私たちは受験生だから、高校の希望の一つや二つはある。
けど、伊織のは初耳だった。
「決まってるよー?
白龍家だから」
その一言でハッとした。
『白龍家だから』
それは、いわゆる…
「指定されてる高校ってこと?」
「そー」