お姫様を捜す前に
絶対の信頼を寄せてる彼らは、私の憧れだ。
そのカヅくんの位地になりたい――なんど願ったか。
今だって羨ましいと思う。
でも――同じ空間で同じ時を過ごせるだけでよしとしなくちゃ。
私はちょっとワガママだ。
「そっか、そうだよね、ごめん」
へへ、と気弱に笑う私に、伊織は美しく笑って。
「だいじょーぶ。離れても俺はたまきが大好きだから」
「はへっ!?」
さも当たり前と言うように、私の体温を急上昇させる言葉を言った。
「も、もう!バカなこと言わないでっ!」
「本当にたまきは俺が好きだなあ」
「東西じゃないんだから!」
身を乗り出して真っ赤になって、照れ隠し+抗議をする私に、幸せそうにじゃれる伊織。
こんなとき、思う。
あぁやっぱりわたし、伊織がすきだなあ、と。
「…………」
こんな光景を、訝しげにみていた、一人の小学生に私は気づかなかった。