お姫様を捜す前に
お母さんをだいぶ昔に亡くしてる私は、これが普通か異常かは区別つかないんだけど、たぶん異常。
「みんな、今日はご飯食べてくの?」
「あ、いいです。今日は家になんの連絡もしてないんで」
私たちはよくおばさんに夕食をごちそうになるけど、あらかじめ家に言っておかないと警察沙汰になる。
…いや、がちで。
パパは異常なくらい私を溺愛してるから。
「相変わらず過保護ねえ…」
曲がった大根を片手に持ちながら器用にエプロンをつけていく。
置きなよ大根と思うのは私だけではあるまい…
「ちなみに伊織くん、あなたに断る権利はありませんっ」
「へ?」
絶対に外のものは食べさせない東ちゃんや西ちゃんも、おばさんの料理なら許可してる
「尚隆さんが来るからです!」
「マジっすか!?」
「また…?」
カヅくんは面倒くさそうだ。
尚隆さんはカヅくんの実の親。
おばさんと籍は入れてないけど、週一のペースでここにくるほど尚隆さんとおばさんはラブラブだ。
伊織はなぜか尚隆さんに気に入られていて、子供の頭数に入れられてるほど。
父親も母親も知らない伊織を実の子供のように愛していて、本人もまんざらではなさそうなんだよね。
…『歌月と兄弟って萌える!お兄ちゃんって呼んで!』とか言ってたなあ。