お姫様を捜す前に


「たまき!」


嬉しそうに顔をあげ、


「お弁当ちょーだい?」


可愛らしくおねだり。


「あげない!
い、伊織にあげたら全部なくなっちゃうし、東ちゃんに怒られるもん!」


そう言い、お弁当を胸に抱き抱えて死守する。


「東には内緒にするからあー」


「だ、だめ!」


「たまき…」


「そんな可愛い顔してもだめ!」


紺と白のセーラー服を揺らしながら怒るたまき。


「むぅ…あ、歌月くー「誰がやるか!」」


こちらを歓喜に満ちた顔で見たから、言葉を遮った。


「ひどい!
昨夜暑い夜を過ごした仲なのにー」


「あ、暑い夜!?」


悲劇のヒロインぶった言い方に酷く傷つくは、たまきだ。


「伊織!ちょっとどーゆーこと?
カヅくんに何かしたの!?」


いやぁあああ…と伊織の胸ぐらをグラグラ揺らす。


「まって!たまき、何で俺が何かした前提で話すんの!?」


「だってカヅくんが何かするわけないし…」


オロオロと分かりやすく顔を真っ赤にする。

が。



「たまき、伊織はそーゆーことできない体質なの忘れてない?」



基本的にエロいことはダメなのだ


「あっ…」


「しかも伊織はそーゆー知識があんまりないから、たぶん今の発言は無自覚」


証拠に。


ポケー?とした顔で俺らを見てる。


「ついでに言うと、昨日はトランプをしただけ」


熱い戦いだったね。
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