ラブレター2
「マジ、寒い。」

冷たい雪が、少しだけ空で遊ぶように舞っている。

「ねっ。」

あいが、隣りで体を震わせている。

「手。」

ジャケットの大きなポケットへ、二人の手が寄り添う。

「明日いいの?」

「う~ん。なんとか。」

もう一度だけ言っておくが、僕とあいは、おかしな関係。

決して、付き合ってる訳ではない。

「彼氏に悪いじゃん。」

本当は、少しもそんなこと思っていない。

「なんか、もうあまり好きじゃないんだ。」

「でも、あっちはあいのこと好きだと思うよ?」

車を降りた後に、少しだけ積もった雪道を歩きながら、温かさを求め、コンビニへ立ち寄る。

「わかんない。」

怒ったようなあいに、それ以上深く追求しないことにした。

今の関係だと、誰も悲しまない。

争いを生まない。

君はズルイよ。と言っているような、雑誌の占いに目を通して、それを閉じる。

「何かいる?」

甘い物が好きなあい。

カゴにしっかりとチョコレートを入れた後に呟く。

「太っちゃう。」

可愛らしく言いますが、しっかりカゴにチョコレートを入れたよね?

チョコレートを!!

明日のために、大量のお菓子と少しのお酒を買う。

商品を、レジに通す音が、何度も聞こえる。

「いいの?」

「おう。給料入ったし。」

大きな一つの袋が重たくなっていたが、財布を取り出す際にあいに袋を渡すと、おぼ~い。と声を漏らす。

僕は笑ったが、表情を変えない店員にお金を払って、大きな荷物を持ち上げる。

「ありがとうございました。」

やる気の無さの声が聞こえた後に、自動ドアが、ゆっくりと開く。

「さぶ~い。」
「うぅ。」

二人して猫背になりながら、腕にしがみつくあいと、小走りで車まで戻った。

「さむ~い。」

「さむ~い。」

と二人して車内が暖まるまで、寒い。を連呼していた。

「さむ~い。」

と言いつつ、あいに寄り添い、腕を絡ませる。

「さっ、行くよ~。」

と隣りに止まった車に見せつけようとした考えがバレてしまい、あいはシートベルトを付け始めた。

「明日、楽しみ。」

意識していないと、サンタが近付くのさえ気が付かなかった。

「うん。」

あいが笑ってくれるから、僕も笑っていられる。

「好~き。」

「もう!!危ないってば!!」

いつの間にか、先程の薄い雪は、槍のような雨に変わっていた。
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