恋愛*モノグラフィティ
「痛っ…!」
「ん、橘?どうかした?」
「ちょっと鼻緒で足が擦れちゃって…」
「…って、血出てんじゃん…!」
「大丈夫…これくらい………っ!」
「バ…ッカ…!無理すんなって…!
とりあえず…どっかで休むか
その様子じゃ歩くのは辛いだろうから
俺の背中に乗って」
「でも…っ」
「遠慮とか今はそーゆーのいいから
はい、嫌じゃなかったら乗って」
「うんっ…」
足を痛めて歩けない橘をおぶって
俺は境内の社へと向かう
表面上クールな感じを装ったが
やっぱり相手が橘なだけに
こんな状況なのに正直緊張する
周りから向けられる
なにあいつら、というような目線
コソッと耳打ちしてはこっちを見て笑う奴
それに気づいているのか
内気な橘の俺の肩を掴む手の力が
より一層さっきよりも強くなる
大丈夫、橘
今は俺が一緒だから
俺が橘のこと守るから