Blood Lovers
episode*01
「ー…い!あーおーいってば!」
「わわわっ」
「もう!
何ぼーっとしてんのよ」
「え、えへへ…
なんか自分が高校生になったって思えなくて」
わたし、一ノ瀬 葵。
今日から高校生。
緊張して昨日あんまり眠れなかったから、今ものすごく眠たい。
入学式の話は全て通り抜けて行ったから、式の記憶はほとんどなかったりする。
「あのねぇ…
さっきの話も聞いてなかったでしょ?」
ぎくっ
そんなわたしを見て呆れた顔をするのは杉下 麻衣。
中学から一緒の親友。
「裏林には近付くなって言われたでしょ?」
「う…“裏林”?」
「そうよ、学校の裏にある林に近付いちゃだめだって。
見かけより広くて暗いから、迷子になって戻れなくなるみたいよ?」
「へぇ~、そんな林あったんだ」
そんな大きな林があるなんて、知らなかった。
ちょっと興味あるかも…
「今“興味あるかも”、とか思ったでしょ?」
「…お、思ってないよ」
「ダメだからね。
葵、ただでさえ方向音痴なんだから」
「う゛…」