Blood Lovers
「やっぱり…」
夢じゃ、ない…
首の右側に、はっきりとした二つの赤い痕。
あの時、キリトさんに噛まれたんだ。
ヴァンパイアって、吸血鬼ってことだもんね。
不思議と冷静なわたし。
怖いとか、そういう気持ちはない。
昨日の裏林のことを思い出した方が…
「っ!」
あのことを思い出すだけで身体が震える。
これから、わたしはあの林に誘導されやすくなるって言われたっけ。
血を吸われたら死ぬかもしれないって。
「だったら」
キリトさんに血を吸われた方が良いに決まってる。
こうして、加減か分からないけど、とりあえず生活はできているわけだし。
それに。
…少しかっこよかったし。
思い出すだけでドキッとしてしまうなんて、わたしってどれだけバカなんだろうなぁ。
単純な自分に呆れながら、わたしは制服に着替えた。