Blood Lovers
「椎名 桐斗くんです」
「椎名です」
わわわ…キリトさんだっ
そういえば、同じクラスに編入するって忘れてた。
桐斗さんの赤かった瞳は黒くなっていて、それはそれで似合っていた。
「椎名くんは家庭の事情で一日遅れの入学になりましたが、みんな仲良くするように」
ヴァンパイア…
桐斗くんの正体を知っているのはわたしだけ、か。
「椎名くんは、あそこの席ね」
「はい」
ふぅーん。
隣の席とか後ろの席になるとかじゃないんだ。
わたしと正反対の席に座った桐斗くんは、休み時間には周りの人に囲まれていた。
…かっこいいもんね。
「ずるいよね」
「え、何が?」
麻衣が少し嫌な顔をしてこっちに来た。
「一日遅れただけであんな人気者になるだなんてさ。
わたしの席、女子が群がってうるさいのよね」
「あはは…
麻衣、好きじゃなさそうなタイプだもんね」
「まぁね」
麻衣はクール系なのに、正統派王子様タイプのロマンチストだったりする。
桐斗くんは王子様ではないもんなぁ。