Blood Lovers
「そうですねぇ、言わばヴァンパイアは都市伝説です。
表向きは、ですけれども」
「表向き…」
ってことは、あの裏林の声って…
もしかしてヴァンパイア?
「ヴァンパイアって言っても、世界中には低級から上級まで存在するのです。
貴女を襲ったのは、低級のヴァンパイアです」
そして…
「貴女が助けを求めたのもヴァンパイア。
彼、キリト」
彼?
名前を口にしたのと同時に、部屋のカーテンが揺れた。
「キリトは私の甥でしてね。
ヴァンパイアが住みついてしまったあの林を管理しているのですよ」
学園長の後ろから姿を現した“キリト”と呼ばれる人は、赤い瞳をしていた。
「キリト、裏林と君の存在がばれてしまった」
「…お前がばらしたんだろうが」
「あはは、そうかもね」
「そうだろうが」
そして、キリトさんは学園長からわたしに視線を移した。
二つの赤い瞳にじっと見られると、金縛りにかかったように動けなくなる感覚になった。
心臓だけが忙しく動いている。