とある人魚の恋物語

「理不尽だよな」



今思えば、顔に出ていたのかもしれない。
彼は私に笑顔を向けるもぎこちない。



「本当、最悪……」



ぽつりと零す言葉に、また口づけをされた。
唇が重なる度に、瞳から大粒の滴が落ちてくる。

その冷たい涙は止まることをしらない。



彼の想いが唇から伝うように流れてくる。

私はなにも出来なくて、ただただ彼を受け入れた。