続・危険なアイツと同居生活
慎吾のベースを借りて、それを背中にかけている蒼。
その姿すら様になっている。
蒼はどうやら家でベースの練習をするらしい。
蒼ほどの人でも練習は欠かさない。
その姿勢を見習わなきゃ。
蒼が十回練習するなら、あたしは千回練習しなきゃ。
「唯ちゃん、頑張ったからご褒美あげなきゃ」
蒼はそう言って、あたしの手を引く。
がさがさな蒼の手。
その手は蒼の努力の賜物だ。
蒼も練習に練習を重ねて、碧になれたんだね。
「ご褒美?なに?」
そう聞くと、
「何にしよっかなぁ」
蒼は楽しそうに笑う。
「アイスがいい?
それとも、チョコがいい?
それとも……」
街灯の下、蒼が立ち止まる。
そして、甘い瞳であたしを見つめる。
「それとも、俺がいい?」