続・危険なアイツと同居生活
演奏が終わり、部屋に静寂が戻る。
だけど耳の中にはまだあの曲が鳴り響いていた。
色々と思うことはあった。
だけど一番感じたことは、あたしがグループの足を引っ張っているということだ。
「まず、ケン。
うるさすぎ」
蒼が椅子に座り、ため息交じりに言う。
その様子は何だか優弥さんに似ていた。
「ドラムは基礎だよ?
そんな自己主張しちゃ駄目。
主役はハルだから。
それに、どんどん曲が速くなる。
ハルが引っ張っていくんだから、安定した速度を保てるようにね」
さすがのケンも、
「はい……」
蒼の言葉に折れてしまう。
蒼は間違ったことを言っていないから。
いくつも壁を乗り越えてきた蒼は分かっているのだろう。
時には鬼の言葉も必要だと。