続・危険なアイツと同居生活
ー慎吾sideー
「蒼、大丈夫かな?」
俺は隣にいる賢一に聞いた。
賢一はなぜか白タオルに鼻眼鏡という、ふざけた格好をしている。
おまけに、『ハルをミスターに!』と書かれたTシャツ。
聞くところによると、蒼たちの店番を手伝っていたらしい。
物好きな男だ。
「ま、蒼だから大丈夫だろうよ」
賢一は笑いながら言う。
「だけど、蒼のライブ三分前から始まる発作。
みんな知らないでしょ?
……もちろん唯も」
「だな。
あの上がり癖は伝えておくべきだった」
賢一はため息をついた。
蒼の上がり癖は半端ない。
石みたいにガチガチになって、ピックすら掴めない。
だけど、一旦ステージに立ったら、あの緊張は一瞬で消える。
そして、期待以上の働きをする。
……蒼は本番に強い。