続・危険なアイツと同居生活








「何だ、こんなところまで来て」




慎吾は吐き捨てるようにそう言った。

松原多恵は眉を寄せ、



「迷惑……だよね?」



申し訳なさそうに聞く。

その表情が愛くるしい。




「……今は練習中だ」




慎吾は迷惑そうに言う。






「何が練習中だ。

あいつ今日、漫画しか読んでねぇだろが」




優弥さんが拳を握る。

今にも慎吾に飛びかかりそうな優弥さんを、




「しーっ!!声が大きい!」



「ばれたらどうすんだよ!」




賢一と蒼が止める。

そんなあたしたちは今、慎吾のロマンスをスタジオの陰から見物しているのだ。







「そうだよね。

……F、かっこいいもんね。

Fみたいになるためには、すごくすごく練習しないと」




天使みたいなその笑顔。

慎吾は松原多恵から目を逸らした。



訪れる沈黙。

松原多恵は、気まずそうに慎吾を見る。

あぁ、何だか松原多恵が可哀想だよ。




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