続・危険なアイツと同居生活
久美ちゃんに会うたびに罪悪感でいっぱいになる。
俺は、久美ちゃんを裏切ったから。
だけど、久美ちゃんは今もそのことには触れず、俺のファンでいてくれている。
その事実がさらに俺を苦しめる。
「懐かしいな。
蒼君とこうやって話すの」
久美ちゃんはそう言って、上を見た。
すっかり暗くなったビルの隙間からは、満点の星空が見える。
「蒼君、すっかり有名人だもんね」
「優弥のおかげだよ」
「もう。何だかんだ言って、蒼君は遠藤先輩のことが好きなんだから」
久美ちゃんは楽しそうに肩をすくめた。
俺は知っている。
久美ちゃんは優弥を好きじゃないことを。
俺をFに誘った張本人だし、久美ちゃんを裏切るきっかけになったのも優弥だ。
「なんか……色々とごめん」
「え?」
久美ちゃんは大きな瞳で俺を見た。
「結局、俺、久美ちゃんを苦しめてしっかり謝れてないし……」
「蒼君……」
あの頃と同じ、久美ちゃんの瞳。
透き通っていて、まっすぐで。
昔はその瞳が大好きだった。
でも、今はそれが俺を苦しめる。
「あたし、怒ってないよ」
久美ちゃんは笑った。
「だけど、お願いがあるの」