続・危険なアイツと同居生活
あたしは、ただ蒼の手を握った。
蒼は溢れ出る思いをこらえるように、時々息を呑み込んだ。
そして、あたしにその胸に抱えていたことを教えてくれた。
「もとから、俺は才能なんてなかったよ。
でも、優弥の要求に応えられるように頑張ってきた。
……ギターだって下手だし、歌うのも苦手だった」
あたしはただ頷いて、蒼の壊れそうな気持ちを受け止めた。
「でもね、無理なんだ。
こんなに頑張っても、出来ないんだ。
次のCDの曲もだし、ライブも……」
「うん……」
「慎吾も賢一もね、おちゃらけているのにすごいよ。
俺だけどんどん置いていかれそうで。
CDのレコーディングも、俺だけ上手くいかなくて。
迷惑かけてる。
そんな俺を、唯ちゃんには見られたくなかった。
怖い……
俺が全て台無しにしそうですごく怖い。
……俺なんてFにいてはいけないんだ」
なんで……
なんでそう思ってしまうの?
「そんなことないよ!」
あたしは叫んでいた。
あたしは、ずっと蒼を応援してきた。
そして、素直にすごいと思ってきた。
あたしはFに励まされ、元気に生きてきたよ。
伝えなきゃ。
Fはこんなに凄いんだって。
蒼がいなきゃだめだって。