続・危険なアイツと同居生活
蒼は慣れた様子で道を走り、流れてくる曲を口ずさむ。
何だか無邪気で可愛くて。
だけど、ハンドルを握る手は頼もしい。
そして、Fの曲が流れ出すと例外なく早送りをした。
「優弥、悪趣味だな。
普通聞かないよ、こんな曲」
「そうなの?」
思わず聞いていた。
「うん、キモいから」
蒼はそう言って笑う。
蒼はそんなことを言いながらも、Fが大好き。
だって、苦しんで、模索して、少しずつ前に進んでいる。
Fは蒼の努力の結晶だよ。
「もう、仕事はいいの?」
あたしの言葉に頷く蒼。
「とりあえずひと段落。
これからはアルバムの製作しなきゃだからね。
唯ちゃんもまた遊びに来なよ」
その言葉が嬉しい。
あたし、歓迎されているんだなって思って。
「それに、唯ちゃんがいないとやっぱり調子狂うよ」
ありがとう。
あたしも、蒼がいないと駄目だよ。