続・危険なアイツと同居生活
蒼と一緒に入った旅館……。
和風ですごく綺麗で、そしてすごく大きな旅館だった。
日本庭園の中を歩き、玄関に着く。
すると、着物を着たスタッフが荷物を持ってくれる。
全てが上質で。
あたしの財力では到底来られない場所だろう。
フロントで、慣れた様子でチェックインをする蒼。
何だか対応もスマートで。
いつもはおバカなのにかっこいいと思ってしまう。
「戸崎様のお部屋は七階の特別室にお取りしています」
特別室!?
蒼、そんな部屋を取ってしまったの!?
何だかますます申し訳ないよ……
「ありがとうございます」
蒼は丁寧にお礼を言って、あたしに向き直る。
そして、
「いこ、唯ちゃん」
満面の笑みを浮かべあたしの手を握った。
蒼の手、大きくて硬くて温かい。
握っているだけで幸せだよ。
……ううん、それだけじゃない。
こうやって蒼と二人でお出かけできて。
一日中ずっと一緒にいれて。
あたし、本当に幸せ。
幸せっていう一言で表せないほどに。