続・危険なアイツと同居生活
『唯ちゃん、どこにいるの?』
電話の向こうの蒼は、驚くほど冷静だ。
必死にもがいて息を上げるあたしと正反対だった。
「あたし……東京にいないよ……」
『どこにいるの?』
その語気は少し強かった。
だから、蒼が来るはずもないのに言っていた。
「……地元のアーケード街にある居酒屋 "はなや"」
『ありがと』
蒼はそう言って電話を切る。
「ちょっと、蒼?」
その言葉に蒼が答えることはなく、
プーップーップーッ……
電子音のみが寂しく鳴り響いていた。