続・危険なアイツと同居生活
そんなわけで……
なぜか、映画にエキストラ参戦をすることになったあたしたち。
蒼と賢一はノリノリで。
優弥さんと紅さんは嫌がっていて。
だけど、慎吾が一番嫌がっていた。
まるで屠殺場に連れられる獣のように。
「慎吾!
多恵に近付くチャンスだぜ?」
賢一がそう言ったが、
「くれぐれも主演の二人に近付かないように!」
スタッフが鋭く牽制した。
そりゃ、そうだよね。
だってあたしたち、今は一般人だから。
ファンがむやみやたらに近付いてはいけない。
「ねーちゃんカップルは、向こうのベンチで肩を寄せ合う」
その指示に、優弥さんは敏感に反応していた。
「水玉のウェアの彼女は、その隣のベンチに一人。
携帯を触っている。
そして、ボーダー四人は雪合戦で盛り上がる」
「任せとけ!!」
賢一はそう言って、すでに雪玉を作り始めていた。
あぁ、何だか嫌な予感がする。
何事もなく終わって欲しい。
あたしは、天に祈る思いだった。