続・危険なアイツと同居生活
いくらお芝居とはいえ、好きな人のキスシーンを見てしまった慎吾。
あたしなら……
耐えられない。
「終わった……」
優弥さんの声がかすれていた。
「全て終わった……」
慎吾はそのまま何も無かったかのように、松原多恵に背を向けた。
だけど……
「酙!?」
人々が一斉にどよめく。
「人違いじゃね?」
「ぜってー酙だよ!」
慎吾は慌てて額に手を当てる。
そこには、もはやフェイスマスクもゴーグルも無かった。
「唯ちゃん!
もう賢一酷いよ!?」
そう言って雪を払いながら顔を上げる蒼。
その顔は、見慣れたいつもの蒼だった。
優弥さんの言う通りだ。
……全て終わった。