続・危険なアイツと同居生活
「な……なんで……」
俺の声はかすれていた。
「なんで……北野さんは……」
「そりゃ、知ってるだろ。
有名な話だから」
「……有名?」
俺はその言葉を反芻する。
「みんな気付いてないと思ってた?
戸崎が碧だって」
俺はただ某然と北野さんを見ていた。
今の俺は黒髪で、地味なスーツを着ているサラリーマン。
あの頃の俺とは似ても似つかない。
それに誰も何も言わないから、気付いていないと思っていた。
四年以上誰にも触れられなかったのだ。
……どうせ、披露宴でバレるのに。
だから数日前、後輩たちにも意味深なことを言ってしまった。