続・危険なアイツと同居生活
「胡散臭くねぇ?」
放課後、賢一が顔を歪めてそう言った。
「だっておっさん、デビューする前にあの容姿、どうにもなんねぇだろ」
「だよね!」
笑う俺たち。
だって、遠藤先輩が出来るはずがないと思っていたから。
約束を守れるはずがないと思ったから。
……遠藤先輩は、一ヶ月で十五キロ痩せると言っていた。
痩せなければ、全てを無かったことにすると。
だけど……
「遠藤先輩、ギター相当上手いらしいね」
慎吾が少し困ったように言った。
「そんな遠藤先輩に教えてもらったら、俺たちももう少しマトモな演奏が出来るかも」
「慎吾は真面目すぎるんだよ!」
俺は笑っていた。
今のままでいいじゃん。
楽しければ。
きっと、遠藤先輩は気まぐれを起こしたんだ。
だって遠藤先輩、性格変わってるし。
俺の中でこの問題は解決していた。
だから、これ以上進展はないと思っていたのだ。