続・危険なアイツと同居生活
「職場の人が、ライブのこと知ってたよ」
気になっていたことを二人に伝える。
「あぁ。うちのスタッフにも言われた」
賢一は困ったように首を傾げた。
「でも、Zeppでしょ?
チケット全部売れるのかな?」
慎吾は久しぶりのベースの弾きすぎで腫れた右手を見ながらそう言った。
……そう。
俺たち三人は同じように思い、同じように心配していたのだ。
もはや時代の波に置いていかれたF。
このFのライブが成功するのだろうか。
「もっと小規模のライブハウスにするべきだったよね」
慎吾がぽつりと呟いた時……
「チケット、もう売り切れたぞ」
新しい声がした。
「優弥!?」
俺たちはその声の主の名を読んでいた。