続・危険なアイツと同居生活
様々なメーカーに電話をかけ、機材をリストアップする。
そして、土地と現在のスタジオの設計図を元に、新しいスタジオを図に起こしていく。
土地が狭いだけあって、なかなか難しい。
そして、慣れない鉄筋コンクリート構造と格闘した。
「戸崎。順調か?」
俺の様子が気になる前田課長が話かけてくれる。
「はい……でも、難しくて……」
特に、この狭いスペースの中で、いかに広いスタジオを作るか。
たくさんの機材をいかに効率良く配置するか。
それに頭を悩まされる。
「音響室、もう少し狭くても良くないか?」
頭をひねる課長。
確かに課長の言う通りだ。
音響室のスペースが無駄かもしれない。
だけど……
「彼は、音響設備にこだわりを持っています。
そして、彼の言うスタジオは録音設備も備えています。
彼はアーティストが演奏している時は音響室に座り、音色を調節します。
そして、音響室に篭って録音します」
音響室は、優弥のお気に入りのスペース。
優弥サウンドの発祥の場所。
だから、多少無駄があっても広く取るべきだと思った。
「……なるほど。
君ならではの発想だね」
前田課長は俺を認めてくれる。
それが嬉しくて。
ますますやる気になる。
俺は眠いのも忘れ、優弥のスタジオの設計に夢中になっていた。