続・危険なアイツと同居生活
「戸崎さん!」
その声で、はっと我に返る。
気付いたら、周りは既に帰る準備を始めていて。
俺の横には中山を含む三人の後輩がいた。
「戸崎さん……お忙しいところすみませんが、今日の練習……」
「あぁ、そうだったね」
俺は図面を閉じて立ち上がった。
すっかり忘れていた。
今日は後輩たちと、親睦会の練習をする日だったということを。
立ち上がると全身に疲労が襲いかかる。
仕事に、Fの練習に、そして今日の優弥の一件。
だけど、負けてはいられない。
俺は疲労を振り払うように伸びをして、ロッカーへ向かう。
「ヤバいよね、戸崎さん」
「本気の戸崎さんって、凄い……」
後輩たちの話し声が微かに聞こえた。
本気……
そう、俺はずっと本気で生きてきた。
才能は月並みだけど、火がついたらとことんやる。
バスケも、スノーボードも、そしてFも。
そのストイックさは負けない。
それが俺の才能かもしれない。