続・危険なアイツと同居生活








「戸崎さん!」




その声で、はっと我に返る。

気付いたら、周りは既に帰る準備を始めていて。

俺の横には中山を含む三人の後輩がいた。






「戸崎さん……お忙しいところすみませんが、今日の練習……」



「あぁ、そうだったね」




俺は図面を閉じて立ち上がった。




すっかり忘れていた。

今日は後輩たちと、親睦会の練習をする日だったということを。





立ち上がると全身に疲労が襲いかかる。

仕事に、Fの練習に、そして今日の優弥の一件。

だけど、負けてはいられない。

俺は疲労を振り払うように伸びをして、ロッカーへ向かう。





「ヤバいよね、戸崎さん」



「本気の戸崎さんって、凄い……」




後輩たちの話し声が微かに聞こえた。





本気……

そう、俺はずっと本気で生きてきた。

才能は月並みだけど、火がついたらとことんやる。

バスケも、スノーボードも、そしてFも。

そのストイックさは負けない。

それが俺の才能かもしれない。





< 607 / 781 >

この作品をシェア

pagetop