続・危険なアイツと同居生活




「ごめん……」




俺は中山に謝っていた。

そして、ギターをケースから取り出す。

黒光りする、この大切なギター。

これを持ってきたっていうことは、俺は本気だ。




「すげー。les paulだ!!」




後輩たちが俺のギターを覗きこむ。

弦に触れると、いつもの心地よい音色を放った。

急いでチューニングをして、楽譜を取り出す。

そして、左側の譜面台にそれを置いた。





「あれ?

戸崎さん、ボーカルじゃ……」




そう言う後輩に言ってやる。




「このリードギターをしながらボーカルなんて無理だよ。

だから、中山でしょ、ボーカル?」



「え!?」



「だって俺、サポートメンバーだし」



「と……戸崎さん!!

あなたって人は!!」




中山は真っ赤になって怒っていた。

そんな中山を見ながら、俺は笑っていた。




「リズムギターだけ?

そんな甘えは許されないよ?」





俺はいつも本気。

だから、周りにも本気になってもらわなきゃ。

どんな大きな会場でも、どんな小さな場所でも、聴く人を笑顔にしたい。

そう思うんだ。




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