続・危険なアイツと同居生活






ー中山sideー







Zeppの周辺は、人で溢れ帰っていた。

最盛期のFのポスターが貼られ、人々はFのタオルを手に開場を心待ちにしている。

そして、俺の心も踊っていた。





「ヤバいよね!Fのライブなんて!!」



「碧ももうアラサーだよね。

絶対かっこいいよ、大人の男!」




そんな声を聞きながら、改めてすごいなぁと思い返す。




いつも俺の近くで笑っているのに。

馬鹿なことばっかりするのに。

そんなあの先輩が、こんな人気グループの一員だなんて。

俺は昨日もらったピックを握りしめた。





俺は戸崎さんに酷いことばかり言うのに。

なのに、戸崎さんはそんな俺を温かい目で見てくれる。

あー、もう、考えただけで泣きそうだ。



< 633 / 781 >

この作品をシェア

pagetop