続・危険なアイツと同居生活
ー中山sideー
Zeppの周辺は、人で溢れ帰っていた。
最盛期のFのポスターが貼られ、人々はFのタオルを手に開場を心待ちにしている。
そして、俺の心も踊っていた。
「ヤバいよね!Fのライブなんて!!」
「碧ももうアラサーだよね。
絶対かっこいいよ、大人の男!」
そんな声を聞きながら、改めてすごいなぁと思い返す。
いつも俺の近くで笑っているのに。
馬鹿なことばっかりするのに。
そんなあの先輩が、こんな人気グループの一員だなんて。
俺は昨日もらったピックを握りしめた。
俺は戸崎さんに酷いことばかり言うのに。
なのに、戸崎さんはそんな俺を温かい目で見てくれる。
あー、もう、考えただけで泣きそうだ。