続・危険なアイツと同居生活






ー中山sideー






開場に音楽が流れはじめ、手拍子が起こる。



ヤバい、始まる。

もうすぐだ。




鼓動はドキドキと最高潮を迎える。

まずい。

何も始まっていないのに、涙が溢れ出てくる。




会場は満員。

チケットを譲ってくれる人を探す人まで続出していた。

Fの人気はいまだにすごい。

そして、改めてすごい人たちだと思った。







大きくなる音楽。

いつの間にか、ドラムの音が鳴り響いていた。

そして、ベースの激しいスラップが鳴り響く。

スクリーンに人影が映り、彼は黒色のギターを身体にかける。

割れるほどの拍手が沸き起こり、テープが飛び散った。




戸崎さん……

いや、碧は不敵な笑みを浮かべて、会場を眺める。






「ただいま!」




その声に、会場は悲鳴を上げて泣き叫んだ。





俺も泣いていた。

拳を振り上げて。





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