続・危険なアイツと同居生活
中山のライブ、なかなか良かった。
MCが嫌いなんて言うわりには、楽しかった。
そして、何より中山が楽しそうで。
見ていて何だか安心した。
何だか中山が俺の後ろでまだモジモジしていて。
言いたいことがあるらしい。
「中山、なに?」
思わずそう聞く。
すると、頬を染めた中山が口を開いた。
「その……
『モスキート』を見て吹っ切れました。
楽しまなきゃ損だって」
「まじで!?
『モスキート』気に入ってくれた?
俺が作詞作曲なんだ!」
「いや……複雑な気持ちです」
中山はそう言って俯く。
「俺自身、もうあなたのことをどう受け止めていいのか。
俺の中で、あなたの像は崩壊しています」
「そっか……」
中山、ごめん。
俺はこんな方法でしか中山を励ますことは出来ない。
正攻法は苦手だ。
だって、中山の大好きな碧は、俺にとって羞恥プレイだから。
俺の中では、Fの活動と唯ちゃんの前以外で碧になることは許されないんだ。
だから、中山の中で大きな存在だった碧。
俺はそれを壊すことしか出来ない。